はりんこ飼育日誌

  このページは、はりんこ塾のメンバーの一人である、板倉氏が秋から冬にかけて
  美川産のトミヨを飼育し、産卵させ、稚魚を元の川に帰すまでの飼育日誌をまとめ
  たものです。写真などは
画像のページで見ることができます。


  平成9年1O/11
  トミヨ5〜6センチ6匹 3センチ2匹水槽に入れる。採取場所ボンプ小屋。

  
1O/12
  水温2O度。昨日藻に紛れていたヨコエビはあまり食べられていない。アカムシを与えた
  ところ、小さい個体から食べ始めた。大きな個体は、警戒心が強いらしい。
  3時間あまりで、アカムシブロックは食べ尽くされた。互いにつつきあう行動が見られる。

  
1O/13
  熱帯魚のエサを与えたが興味を示すが食べない。毎朝アカムシ1ブロック与えている。

  
1O/14
  エサは1日1ブロックでよいようだ。ヨコエビを入れたら喜んで食べた。

  
1O/19
  バイカモは一週聞で1/3が枯れる。クロモを入れる。

  
1O/26
  バイカモは二週間で完全に枯れる。口が小さいので大きなヨコエビは食べられない。


  11/3
  クロモはなかなか枯れない。二週間たっても大丈夫である。少し腹が膨らんできた個体
  がいる。タマゴを持ったのかも知れない。

  
11/9
  バイカモを変える。クロモ(カナグ藻)はなかなか枯れない。ヨコエビの小さいものは
  食べられる。口が本当に小さい。まだ、タマゴを持たない。

  
11/22
  タマゴを持ったメスが1匹いるようだ。結構腹部が膨らんでいる。1匹の小さな個体は
  最初黒い色をしていたが現在では他の個体と同じ色になった。オスはいるのだろうか
  区別できない。

  
11/23
  藻の入れ替えと水換えをする.水道水を入れたが汲み置きしなくても大丈夫であった。
  昨日腹部の大きかったメスは今日はそんなに目立たない。水温15度。

  
11/28
  23日頃から1匹が藻を運ぶような仕草をするようになった。たぶんオスであろう。
  一週間かかってだんだんと黒みを帯び今日は他の個体と完全に見分けられる位の
  婚姻色となった。ジグザグダンスをはじめ、腹部の大きなメスに体当たりをして自分の
  巣に誘導している。しかし、まだ巣は熟魚2匹その他はメスのようだ。  産卵しそうな
  メスは縦の縞模様がとてもはっきりしている。オスは胸鰭の下に特に黒い部分が
  見られる。9時。

  
11/3O
  腹部の大きかったメスは縞模様が消え、腹部も小さくなったようだ。どこで産卵したの
  だろうか。 オスはまだ巣を完成していないらしく、さかんに藻の切れ端を運んでいる。
  巣の回りを固定するため自分が巣の回りをクルクル回る仕草をする。腎臓から固定
  させるための物質を出すと本には書いてある。巣の形はとてもはっきりしてきたが卵が
  あるかどうかははっきりしない。

  
12/1
  あまり変化が見られない。一番大きな個体の腹部が膨らんでいるような気がする。

  
12/7
  メスの縞模様がはっきりするとオスは巣に誘う。朝産卵させたようだがはっきりしない。
  巣は毎日せっせと修理されながら壊れないで現在もある。黒い婚姻色がでないがもう
  1匹オスがいるようだ。

  
12/8
  もう1匹のオスに婚姻色がはっきりと現れてきた。オス大2匹、小1匹らしいメス大4匹、
  小1匹のようだ。 巣穴の位置を変えたようだ。とても見にくくなった。

  
12/9
  前の巣を放棄して今度は新しく水底から1Oセンチぐらいの高さに巣を作った。一日で
  仕上げた。

  
12/1O
  アカムシブロックは1日で1/3程度でよい。寒くなり水温11度。新しい巣は下に下がった。
  重さのせいか。

  
12/15
  例のオスが3つ目の巣をまたもや1日で作る。メスが産卵の準備ができたからであろう。
  メスは縦縞模様がはっきりしている。産卵を3回促したがまだ産卵できないでいる。
  ビデオ撮影ができた。 もう一匹のオスも必死で巣作りをしている。

  
12/16
  昨日のメスは縦縞が薄くなり腹部も膨らんでいない.産卵したかもしれないがわからない。
  婚姻色の薄いオスのところで産卵したかもしれない。巣はとてもしっかりしたものとなった。
  産卵しそうなメスは一番大きな個体だがまだ縦縞が表れない。

  
12/17
  巣の中にタマゴ発見。時々ファンニングをしている。ようやく観察できそうだ。

  
12/18
  昨日よりもタマゴが多くはっきりと見える。電気を暗くしても盛んにファンニングした
  り巣を補修している。

  
12/23
  12時に巣を別の水槽に移す。もう1匹のオスの婚姻色がはっきりしてきた。
  16日に産卵したのであと1週聞以内で仔魚が産まれるだろう。

  
12/24
  昨日の巣にはタマゴ見つからず。残念。タマゴは確実にあったのだから、別の個体に食
  ぺられたのであろうか。昨日から腹部の大きなしたメスが見られたので、オスがまた巣作
  りをすると思っていた。朝は変化がなかったが、夕方にはやはり巣が完成されていた。
  巣作りをしたオスは、3回も作ったことになる。メスも今度産卵すれば3回目である。
  繁殖力の強い魚である。今度産んだらすぐに、別の水槽に入れなければならない。

  
12/26
  腹部の大きいメスが2匹いたが、今日見てみると腹部が元通りになっていた。今度こそ
  はと思い、かわいそうだったけれど巣を取ってみた。やはりタマゴが巣の中にあった。
  別の水槽に入れる。タマゴの数は4O〜5Oといったところか。オスは巣がなくなった為
  おろおろしている。(4O〜5Oは間違いだった。)

  
12/27
  例のオスは4回目の巣作りを始めた。今日1日で完成するだろう。タマゴの数を数える。
  2匹分で15O前後といったところか。

  12/29
  もう1匹のオスも巣を作り始めた。腹部の大きなメスはまだいないが少しだけ膨らんで
  いる。 タマゴの受精していないものは白くなってきた。

  
平成10年 1/1
  例のオスは巣がこわされたので5回目の巣を作った。産卵しそうなメスが1匹いる。
  タマゴの水槽では受精卵には目がはっきりと現れてきた。

  
1/2
  タマゴの中で仔魚が動いているのがわかる。1匹の産卵数は約7O個前後だったが、
  その内受精卵は3O粒前後であった。産卵しそうなメスに2匹のオスがかわるがわる
  ぶつかり、産卵を促してはいるがまだ産卵しない。メスの腹部は大きく膨らみ、タマゴの
  出口はピンク色になっているので、時間の問題である。メスはどちらのオスにもついて
  いき、巣を確認している。
  オス同士は顔を見合わせる度に、攻撃しあっている。
  タマゴは最初は透明で宝石のように輝いていたが、日が経つにつれ薄い茶色と変化し
  てきている。今日で8日目。もう2,3日で仔魚が産まれるだろう。ちよっと目を離している
  間に産卵してしまいメスの体色は縦縞が消え黄色くなった.産卵場所は例のオスが底
  から10センチ高に作った巣であった。底に作られた後で婚姻色の出たオスの巣には
  まだどのメスも産卵していない。

  
1/3
  受精卵は周囲の無精卵が腐ってくると、その影響を受け死んでいくようだ。
  生きている受精卵はあと2O粒ぐらいか。

  
1/4
  1O日目タマゴだけ集めてあった水槽では5匹の仔魚が孵った。養分を腹に蓄えており
  鮭の仔魚の状態と同じでほとんど動かない。二日に産卵された巣が壊され水底に落ち
  ていたので別の水槽に入れる。タマゴは5O前後あった。例のオスはまたせっせと六回
  目の巣づくりを始めている。

  
1/7
  一番大きな個体が3回目の産卵をした。今日の夕方腹部はほっそりとしている。例のオ
  スの巣で産卵したのだろう。別の水槽では2日に産まれたタマゴにうっすらと目のような
  ものが見られるようになった。

  
1/1O
  2日に産まれたタマゴの目がとてもはっきりしてきた。今のところ腐ったり水カビのはえた
  タマゴは少ない。  3O個ぐらいは大丈夫である。昨日もう1匹のメスが産卵したようだ。

  
1/12
  今日タマゴの一部が孵った。ほとんど動かず小石の間にじっとしている。
  やはり、早いと1O日である。

  
1/15
  1O匹以上が癖ったのは確認してはいるが、今日目を凝らして探しても見つからないのは
  どうしてだろう。 大きい水槽の巣はだんだんと大きくなってきて重さのせいで下に落ちて
  きた。  9日産卵のタマゴはもう目がはっきりしているころだろう。このまま取らずに観察
  することにしたい。

  
1/17
  メス4匹のうち2匹がまだタマゴを持っている。後で婚姻色の出たオスが盛んに巣に誘う
  がついていこうとしない。

  1/21
  9日産卵したタマゴは孵らない。水カビが生えていたようだ。ヨコエビがいたのでエビがタマ
  ゴを腐らせたのかもしれない.巣をあげてみたら、一番大きなメスが産卵した新しいタマゴ
  があった。  別の水槽に移す。最大のメスは3度産卵したことになる。水温1O度。
  腹部の大きなメスがもう1匹いる。

  
1/24
  4匹のメスは腹部の大きなものはいない。22日に大きなオスの巣に産卵したようだ。さか
  んにファンニングしている。小さい水槽のタマゴには目が現れてきた。例のオスは7回目
  の巣を23日に作った。

  
1/28
  昨日大きなオスの巣からタマゴの塊が落ちてしまいどうすることもできなかったので、
  タマゴを別の水槽に移す。18日頃に産卵したタマゴがほとんど孵った。イチゴパックに
  穴をあけて様子を見ていたがあまりにも小さいので穴から落ちてしまったようだ。
  1月12日に孵った仔魚は見られないので死んだと思っていたが、2匹が5ミリぐらいに
  成長していた。藻の聞に隠れていたのだろう。腹部の卵黄は2週聞ぐらいかかって吸収
  されるのだろう。

  2/1
  今日3匹いた稚魚のビデオ撮りをする。5ミリぐらいの大きさだが、縞模様がはっきりと
  見える。 2匹と思っていたが3匹確認できた。もしかするともっといるかもしれない。

  
2/3
  大きなオスが小さなオスの巣を壊し、新しい巣を1日で作っていた。

  
2/8
  小さなオスの尾鰭が白くなり元気もなく水底であまり動かない。7回も巣を作り寿命が
  きたのかもしれない。オスの巣作り縄張り行動は2ケ月ぐらいか。稚魚の水槽では
  6匹確認できる。大きい個体は1センチ近くある。一番大きなメスの腹部が膨らんで
  きた。今度産卵すれば  4回目である。他のメスにも腹部の大きなものが見られる。

  
2/9
  小さめのメスが産卵。かわいそうなオスは藻の間にじっとしていてエサをやっても出て
  こない。 あとは死を待つぱかりか。老衰とは誠に哀れである。

  
3/上旬
  稚魚十数匹と成魚7匹を安産川に放流する。


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